プロローグ






日本国では、多くの学校が7月20日になると夏休みという学校へ行かなくてもよいイベントを始める。イベント中は海へ行ったり山へ行ったりするか、はたまた夏期講習へ行くのが正しい過ごし方とされている。

私はまあどっちかというと前者だったように思う。でも、行くといっても近くの山や川くらいだ。だからよく本を読んでいた。無人島で冒険する本をいくつも読んだ。神秘の島、15少年漂流記、ロビンソンクルーソー、シンドバットの冒険、はてはズッコケ三人組まで・・。でも、小学生ながらこれは架空の物語であって、実際に自分達がこのように島で冒険できる可能性は0%であると知っていた。ロマンの欠片もない偏屈な子供だったんだと思う。


それから10余年の月日が流れ、私は日本縦断の旅に出た。きっかけは、「名古屋のヘルスへ行ってスペルマを発射した」という友人の自慢話を聞いて、凄く羨ましかったからだ。オレも行きたい。気がつけば地図も持たずに1号線を東へ走っていた。で、勢い余って鹿児島までいって、次に気がついた時には札幌まできていた。薄野と中洲でぼったくられたのはいい思い出だ。

それからまた数年たって、今度は日本一周をすることにした。日本縦断時に断念した、最果ての風俗でスペルマを発射したかったからだ。いい年して暇さえあれば北海道や沖縄の地図を眺めている私の姿を見て、まわりの大方の人間は、私の病気が進行してついに気が狂ったかと思ったみたいだが、本人はいたって冷静で、出発時にエンジンを始動させたときの感動はいまでも鮮明に記憶に残っている。

私は、やろうと思えば冒険は出来るということに気付いた。お金を使って冒険を架空のものから現実のものにする事は、大人になったからこそ出来ることである。フィクションではなく、目の前に広がる現実、主人公は自分、わくわくするではないか。



そして2010年の夏、おっさんになった私は夏休みの冒険として、ある島へ行くことにした。船でしかいけない片田舎の島。渡った島には女が沢山おり、その中から一晩恋人になってくれる女を選び、翌朝まで一晩ハメ狂う。海を越えて行きついた先の桃源郷・・・そんな大人の冒険心を満たしてくれる島が日本にあるのだ。


島の名前は「わたかの島」という。








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