渡鹿野島に上陸せよ

2010年7月×日、長官より緊急指令が下りた

指令:渡鹿野島に上陸せよ

早速、捜査官が現場へ急行した。
なお、以下のファイルはすべてノンフィクションであることに留意されたい


私は、とある駅にいた。白い車体にチョコレート色のラインの入った車両がのんびり走る鉄道だ。時刻は20時。目的地の島へ、この駅が最寄りとなる。ここからはバスかタクシーで移動するのだが、幸いなことに最終バスがまだ残っている。

 「わ」と書いてあるのが渡鹿野島への船着き場を経由する便だ。


定刻になると、人がほとんど乗っていないバスは走り出し、いくつかの停留所を素通りして20分ほど走っただろうか。 目的地がアナウンスされたので停車ボタンを押した。真っ暗な中、「渡鹿野島渡船場」という停留所で下りる。運転手から「はい、ありがとう」と言われる。こんな時間に男が一人でこの停留所でおりる。100%セックスしに行くってばれてると思う。



 闇に浮かぶ売春島の灯り

バスが行ってしまうと真っ暗になった。やがて目が慣れてくると星が異常に見えることに気づく。しばらく星に見とれていると、ディーゼルエンジンの唸り声が近づいてきた。そうか、渡し船がきたんだ。小さな船がやってきて、サーチライトで桟橋を確認すると、1発で着岸させた。船の操縦席からおっさんが顔を出し、「島渡るの?」と聞いてくる。私は「ハイ」と言って桟橋から船に乗り移った。

「はい300円貰ってるからね」

操縦席のおっさんはそういってお金を徴収した。船に後進をかけながら、おっさんが聞いてくる。

「今日は泊まりで?」

「はい」

「宿はとってる?」

「とってない」

この時点で勘違いした観光客でないことの確認作業は終了したようで、あとはそっち系の話となる。

「どこから来たの?」

「大阪」

「大阪?飛田だろ!あすこは何分?」

「15分から」

「いくらなの?」

「11000円から」

「泊まりはないの?」

「無いです」

「やっぱり泊まりでないとな!がはは!」

島が近付くと、おっさんは携帯でどこかへ電話をかけ始めた。「いまバスで来たお客さん一人いるんだけど、どう?泊まりで・・」 で、電話を切ると今度は私に向かって「話聞いてったら?岸に迎えにきてるから」と言った。まあ、ある程度は予想していたので、従うことにした。

船を降りて島の土を踏む。遂にやってきた。・・・が、感動に浸る間もなく、おばさんの案内で港からすぐのホテルに案内されることになる。これから私のために商品となる女を陳列してくれるそうだ。捜査もくそもない。島に着いてからまったく無駄のない動きである。 まあ、事前情報は世間に溢れかえっているので、こっちも時間を持て余すのが嫌でわざとこの時間を選んできてるわけだけど。


旅館の2階のエントランスで、ソファを進められる。先客の一人のおっさんが顔見せを終了したようで、つづけさま、同じ場所に私が座らされる。大女将みたいなばあさんが出てきて、オレの隣に座り顔見せするからといって女を並ばせる。

3人が顔を見せた。タイと思われる外国人2名。あと1名は日本人に見える。顔のクオリティは低め。一人は不細工だが一生懸命笑顔を振りまいている。もう一人はスタイルが抜群にいい。スタイルのいい女は買ってよしの品質だが、他の女も見ないと捜査にならない。

他の女も見たいというと、大女将は「そう、うちの子もいい子よ」といって、嫌な顔もせず、「ちょっと、○○と○○連れてったげて」といってくれた。さっきのおばさんといっしょに置屋へ行くことになった。置屋というかスナックだけど。


週末とあってか、船着き場周辺はけっこうなにぎわいである。驚いたことに家族連れが多く、カップルもいる。スナック街風―といっても数件あるだけだが― のところでポン引きが3名ほどいる。まず1軒目。2名の外国人が私の前に陳列された。うち一人は直立不動で「よろしくお願いします!」と軍隊風のあいさつをしてきた。かなり気合が入ってますな。さっきの旅館の女の方がはるかにいい女なので、5秒で顔見せは終了し、次の店にいくことになった。

断ってもポン引きの態度が変わらない。で、何が何でもここで決めろという強引さもない。他を見たいと言えばちゃんと親切に案内してくれる。けっこう良心的だね。

2軒目。遠目に女の姿が見えたが、その女の管理管轄であるポン引きに聞くと「泊まり?あかんわ。予約入ってるわ、ショートでないと」と言われる。予約があるのか・・・。よっぽどいい女なんだろうな。ちらっとだけ見えた女は若くてスタイルがよく見えた。

続いて3件目へ。案内役のおばさんは、「まだ宴会が終わってない子もいるからねえ・・・」とか言いながら、次の置屋をどこにしようか迷っているようだ。四つ角まで来たときに、2軒目のポン引きが後ろから怒鳴ってきた。

「いけるわ!予約は明日や!」

先ほどNGだった女が泊まりでいけるようだ。内心、ラッキーと思いながら、顔見せしてもらうことにした。

「すご〜〜〜くサービスのいい子やから」とだけババアは言う。そうか。珍しく楽しいセックスが出来るのではないかと期待が高まってきた。なんかしらんがアパートの2階へ案内される。女の部屋へ直接行くみたいだ。予約があるなら日本人てことか。ババアに国籍を聞いてみると、「あいのこ」という返事が返ってきた。で、部屋の前まで来るとババアが扉をたたく。

カギが開いて中から現れたのはタイ人だった。年は32くらいか。でも長く伸ばした髪と化粧で若く見える。遠目には23といっても通用しそうだ。ババアが横から営業してくる。「この子は部屋もきれいよ。決めたって」部屋が綺麗なことが営業トークとして成り立つというのがおかしかった。まあ、泊まるのだから確かにきれいなほうがいい。

断る理由はないので商談が成立した。その場で4万を支払う。いったん撤収し、22時半にまた来るように言われる。4万渡してしまって安心できるのは、ここが島だからだろう。船以外には泳いで対岸へ渡るしか逃げる方法はない。オレを案内してくれたおばさんは戻って行った。「すいません」と言うと、「いいのよ」といって、時間まで風呂へいったらいいと入浴割引券をくれた。


時間は午後9時過ぎだ。ゆっくり露天風呂に入ってハーゲンダッツのアイスクリームを食べて、宴会をしている女のチェックをする。どの女がセックスまでする女なのか不明だが、とびきりの美女はいない感じだ。人間観察がすんでまだ時間があったので港へ行ってみた。

くらい海を眺めて愛を育んでいる最中のカップルの傍に座った。星がきれいだ。





渡鹿野島とは、いったいどういう島なのか。島は、複雑に入り組んだ大きな湾の中にあり、昔から風待ちの島とされていた。風待ちというのは、昔の船は動力がなかったので、風任せだったから。風が吹かないと停滞するしかない。船が港に入ったら、港はその対応をするわけで、必然、港町が出来上がり栄えていくことは、島国日本人なら本能的に知っている。 町が栄えると春を売る商いが成立するのは今も昔も同じである。

本やサイトで渡鹿野島が説明される際に必ず出てくるのが「はしりか(が)ね」という単語だ。女が客の船に乗ってセックスの相手をするだけでなく、針仕事もしてあげたから「はしりがね」になったというものだ。「針師も兼ねる」→「針師兼(はりしかね)」→「はしりかね」→「はしりがね」と。

島の観光案内板には「遊女の岩がある」とかかれている(見に行ったが、よくわからんかった。
これか?

この風俗が動力船の時代になっても受け継がれ、現在にいたっているということだ。今では外国人娼婦がいたり、旅館で堂々と顔見せしたり、泊まりが基本形になっているという独自の路線は、他の影響を受けにくい島ならではの進化なのかもしれない。さしずめ風俗のガラパゴス島といったところか。

意外かもしれないが、女は日本人の他に東南アジアの外国人がいる。年齢は高めで特に高クオリティの女はいない。田舎だから田舎の芋っ子みたいな女が中心だ。最近は、女のクオリティが下がっており、特に外国人がNGな男には受けが悪くなっている。遊びはショートと泊まりがあり、それぞれ2万、4万が料金となる。じか引き以外は、いかなる場合もディスカウントは出来ない。スタンダードな遊びかたは、旅館を取って島に渡り、チェックインしたら顔見せをしてもらい、並んだ女から好きなのを選んで確保する。で、めし喰ったりして時間を潰して泊まりは23時からとなる。暇なときは22時から入れたりする。場所は泊まっている旅館ではなく、ビジネスホテルか女の部屋となる。先ほど確保した女と朝までセックスするのだ。回数制限はないが、一般的には夜2回・朝1回の合計3回くらいだろう。で、8時半に女と別れて旅館に戻って朝食を食べるってことだ。4万で主従関係をもって朝まで3回出来るんだから、安いと思う。納屋橋で南米人を購入して泊まったら、たいしたサービスもないままに6万とホテル代がかかる。

「消えた赤線放浪記」(*1)には、92年の話が載ってるが、ここにはショート、ロング、泊まりとある。昔は3段階の時間設定があったのかもしれない。

まあ、このへんの話はグーグルで検索してみると沢山ヒットするはずだ。


リフレッシャー的にはわりと有名な島であり、一般人でも知っている人は多い。風俗雑誌以外でもそれなりに露出があり、扶桑社の「SPA!」にも掲載されたりしている。「日本不思議島」(*2)「色街を飲む」(*3)など、現在手に入る書籍にも潜入記が載っている。そこには『風俗嬢が最後に行きつく島』とか、『W島で体験した恐怖の一夜』、『ここ、異常ですよ。ぼく、怖いです。帰りましょうよ』などと、多少の脚色もあろうが総じてヤバ過ぎる島として描かれている。また、真偽のほどは別として、島のことを取材していた雑誌編集者の女が失踪したという事件もある。これもググったら出てくるだろう。


あんまり知られていない島の歴史としては、ここには先の大戦での特攻基地があった。震洋(しんよう)の基地。ベニヤ製のモーターボートに爆弾をつけて敵艦に体当たりする特攻兵器だ。日本中で約6000隻が作られた。ここらの湾は島が入り組んでいるので、秘密基地をつくるには適地だったのかもしれない。あるいは3種の神器のうち2種がこの湾の近くにあるから、なんとしてでも防衛しようとしたのかもしれない。第4特攻戦隊第19突撃隊は、的矢湾方面の防衛を担当しており、その本部は渡鹿野島の「旅館」に置いたそうだ。その名残は、島の中央にある神社に予科練の碑として残っている。




結局、この基地からの特攻はなかった。基地が完成する前に敗戦を迎えたのと、それ以前にベニヤ製の特攻兵器すら届かなかったということだ。ウィキペディアには「この島は激しい爆撃にさらされた」と書かれているが、島と言うよりはこの海岸線一帯は1945年に何度かB29に無差別爆撃されている。

それにしても、特攻隊員は童貞のまま死んでったのだろうか。




後ろにいるカップルは、島の歴史なんて知らずに遊びに来ているのだろう。愛の語らいが終わったら部屋に戻ってセックス開始か。 時計を見るとデジタル液晶が21時30分を示していた。さて、私もチンチン挿れにいくか。


ポン引きゾーンへ戻ると、「あら、おかえりなさい」とババアに迎えられ、そのままアパートまで案内された。ババアに、「忙しいか」と聞いてみると、「そうでもない」との返事。それ以上は何も聞かず、黙ってババアについていく。

やがて、先ほどのアパートの部屋の前に着いた。

「○○ちゃ〜〜ん!」とババアが叫ぶと、中から鍵が開けられ、女が顔を見せた。

これから朝までの約10時間、この女は私の貸し切りとなる。部屋の中は綺麗にされており、奥へと案内される。 さっき会ったときはあんまり笑顔が無かったが、近くで見ると、けっこう可愛い。よくしゃべる女だ。挨拶がすむと年齢を聞かれる。

「いくつにみえる?」と、売れないキャバ嬢みたいなしょうもないことを聞き返す。

「24くらい?」と、女。

「もう少し上」

「27歳?」

めんどくさかったので27歳ということにしておいた。女の年齢は私の予想していた通りだった。

私の顔を見て、「ハーフか?」と聞いてくる。外国人にはよく言われる。違うというと今度は「整形か?」と聞かれる。これも外国人にはよく言われる。また違うというと、女は「あたしは整形よ」と言ってビフォーアフターの画像を見せてくれた。ま、韓国やタイは整形がおおっぴらですから。やつらは顔だけじゃなくて性別も改造しますからね。


そんな話をしながら、女は早速始めるようだ。

「あなた脱いで寝てください」

こっちが風呂に入ってきたのを知ってか知らずか、ウェッティすら無しでいきなり上に乗っかってきた。乳首舐めからゴムフェラとなる。テクは中くらい。で、ゼリーをマンコに仕込んで正常位で挿入することになった。マンコは小さく、私のサイズとあんまり合っていない。窮屈感を感じながら腰を振る。あえぎ声は少しは出るのだが、マン汁の湧出量はわずかで、あんまり感じてもいないようだ。 しばらくピストンするが気持ち良くない。5日もためてきたのに。こんな彼女の家みたいな状況で彼女みたいな女相手だと興奮しない。私は特異な環境でないと興奮しない病に冒されているのだ。

マンコが乾いてきた。ゴムが膣の中で止まって、ゴムの中のチンコだけが動いているというあの状態だ(わかる?)こりゃ駄目だな・・・。「大丈夫?」と聞くと、「うん、あたしゼリーつける」と、白旗があがる。

私はもうセックスしたくなくなって、もういいと言ったのだが、女は優しいので永遠フェラしてくれた。20分はずっと咥えてもらってただろうか。なんとかフェラで発射に成功した。

ふう、やっと1回終わった。もうしたくないや。ぐったりする私のそばで、女に「今日3回やるよ。あと2回」と、さらっと言われる。orz。

シャワーを浴びて、出てくると、女物のパジャマを渡される。で、DVD見ながらマッサージしてもらう。足を揉んでもらっていると、隣の部屋の女(タイ人)がやってきた。

「辛いの食べるか?」

料理を作ったから食べないかということらしい。いきなり食事タイムとなる。で、食後にでっかいスイカをスプーンでほじくって食って、眠くなってきたのでベッドにもぐる。女に「3時ね」と言われていたが、寝た振りをしておく。(どっちが客だか・・)

4時くらいに目が覚めたら、女はDVDを見ていた。いつでもセックスできるように起きていてくれたのかもしれない。次に目が覚めたら8時半だった。女は相変わらず起きており、おはようの代わりに「するか?」ときかれる。

断った。もうセックスしたくない。10時間無制限の状況でフェラ抜き1回。私はやっぱり淡白なんだと思う。どうしてみんな信じてくれないのだろう。



セックスの代わりに、朝ご飯を作ってもらった。一晩でパンと、鶏肉の煮たやつと、ご飯と、とうもろこしと、どんべえと、ジュースと、すいかと、お茶と、飴と、チョコレートを貰った。風俗店でこんなにもらったの初めて。完全に彼女の部屋状態でした。朝はうんこまでしたよ。


だらだらしてアパートを出たのは午前10時くらいか。本当は8時半のきまりだが、宿をとっていないので、居させてくれたのだろう。次回の訪問のために女と携帯の番号を交換してる時、事件は起こった。女が「あたしの友達。最近結婚して子ども出来たって」と、携帯の画像を見せてきた。そこには、純白のウエディングドレスとタキシードを着た男女がいた。

!! なんてことだ・・・・。私のよく知っている二人だ。驚いて何度も見直すが、いや、間違いない・・本人だろう。なんて日本は狭いんだ・・。

動転しながらアパートを出て船着き場へ向かう。渡し船の操縦席にはゆうべのおっさんがいた。「もう1泊するのかと思ったよ」と冷やかされる。



しかし・・あの画像・・・。これは私だけの秘密にしておこう。島に宝物をおいてきたような気分、その隠し場所を知っているのは自分だけ。そんな思いで船に乗り込んだ。




*1 消えた赤線放浪記 その色町の今は……

*2 潜入!ニッポン不思議島 (宝島社文庫)

*3 色街を呑む!―日本列島レトロ紀行 (祥伝社文庫)




捜査報告書:宝島でセックス40000円也



リフレッシュトップへ1つ戻る