バンコク風俗紀行F ナナホテル前で立ちんぼせよ
2011年2月×日、長官より緊急指令が下りた
指令:立ちんぼになれ
早速、捜査官がナナホテル前へ向かった。
なお、以下のファイルはすべてノンフィクションであることに留意されたい
深夜1時。ナナホテル前は一大立ちんぼ地帯になる。その数・・30人いや、もっといるか、そのへんのオープンバーで飲んでる女も、誘えばたぶんいける女もいると思う。それらを合わせるともう100人以上になるんじゃないか。そもそもナナエンターテインメントプラザだけで27軒もゴーゴーバー(ダンサーを連れ出しできる娯楽施設)があるのだ。それを考えると、途方もない人数の身体を売り物にしている女がこの一帯にいることになる。
オレも深夜2時にナナホテル前で立ちんぼをしてみることにした。
自分で言うのもなんだが、オレは男にはモテる。ホテル前でニューハーフかゲイにナンパされてみようと思う。きっとナンパされると思う。
早速、現場へ行ってみることにしたが、まずナナホテルまでたどり着くのが大変だ。スクンビット通り沿いは点々と立ちんぼゾーンがあり、そこを通るたびに声をかけられることになる。途中で可愛い立ちんぼがいたら買ってしまうかもしれない。あるいは男に声をかけられて任務完了してしまうかもしれない。
第一関門のロビンソン前を通過、
第2関門のソイ15を通過・・するときに捕まった。
はい、ニューハーフです。
腕を掴まれ、遊ぼうとしつこい。なんでいつも男に声をかけられるんだろう。昨日ナナプラザへ行った時も、ニューハーフやゲイの人には積極的に声をかけられたし。オレだって本当は女にモテたい。男を引き寄せるフェロモンでも出ているのか。
髪型にあるのか?行ってる美容室のスタイリストが、「バンコクですか?奴らは短髪が好きですから」と言って尖がった髪型にしてくれたのだが、その通りだよ。ニューハーフにはモテモテだよ。これはバンコクカットと名付けて、店の売りにしたらどうだろうか。
それとも肌の露出か?この裸みたいな格好がセクシーすぎるのか?ミニスカートの女みたいに男の心を刺激するのかもしれない。
とりあえず自分の体ながら謎だ。
男を振り切って歩く。これ以上声をかけられるとマズい。スクンビットの南側を歩くことにした。こっちには殆ど立ちんぼはいない。
途中にバーはあるけど。と思ったらその途中のバーで、またニューハーフにしつこく誘われた。どうして先に声をかけてくるのはいつも男なんだろう。
それも振り切って、やっと交差点までやってくる。
よし、行くぞ!気合を入れてホテル前へ行く。女達に交じって立ってみると、すぐに腕を掴まれた。時間にして15秒。
見ると凄い綺麗なニューハーフだ。女かと思ったが、男だ。間違いない。X JAPANのYOSHIKIみたいな整った顔をしている。日本語は通じないので英語で話をする。
オレは女を買いに来たわけじゃないので、男のフェロモンを試すためにやってきているので、金を払うつもりはない。でも、この女、一生懸命遊びに行こうと誘ってくる。女が綺麗だったのと、どこに連れて行ってくれるのか気になったので、とりあえず一緒に通りを歩くことにした。30mほどあるいて、女が指さしたのはホテル。
「いや、だから今日はセックスしないって」
「いこう・・」
「いや、いかない」
「いこう・・」
「お金がない。タイバーツは使いきった。ホントだ」
「大丈夫だから」
「いや、大丈夫って大丈夫じゃないでしょ・・」
ホテルの前で話をする。
オレは呆れて、タイバーツは無い。これだけしか。と言ってポケットから全てのタイバーツを出して見せた。本当に1200Bしかないのだ。
「君と遊ぶお金は無い。ホテルに帰るにもお金がいるし。あとこれだけしかないから、このお金は遊びには使えないんだよ」
だが女はあきらめない。ホテルのフロントと交渉を始めた。
「あなた220バーツ出せる?」
「それくらいなら出せるけど」
女は「それでいい」と言って、オレの手から1000バーツ紙幣をとると、フロントへ出してしまった。
おい!オレはまだ遊ぶとは言ってないぞ!
女はニコニコしながら約束通り釣りの780Bを返してきた。そしてホテルはボロい連れ込み宿ではなく、カードキーの綺麗なホテルだ。え?どういうこと?
電子ロックが外れ、ドアが開いた。女はどうしてもオレとセックスしたいようだ。もうここまできたらいいだろう。今夜はこいつと寝てやろう。
部屋は凄く綺麗だった。トイレもシャワーも綺麗だ。汗だくだったので、とりあえずシャワーを浴びる。
ぬるま湯を浴びながら、どうするか考える。うーむ。確かにタダでセックスすることになったから目的は達成されたけど・・。でもどんなプレイになる?竿がついてるか確認していないけど、どうなんだろう。竿付きか、穴を製造中か・・の可能性もあるよなあ・・。
シャワーを浴びて出てくると、女は服を着たままだった。確信した。知ってる。そのスカートの下は竿がついてるから脱げないんだろ。
女はオレの身体が気に入ったみたいで、はやくチンコをしゃぶりたくてしかたがなさそうな顔になっている。大きなピアスを外し、金色の像のネックレスも外すと手のひらに入れて深く合掌した。合掌が終わるとオレはベッドに押し倒された。
たっぷりキスをする。男の匂いはせず、いい匂いがする。そのまま襲われた。体中を舐めまわされ、オレもそれにこたえる。ああ、こんなセックスもいいかも。あ、挿入しないからセックスじゃないか・・。でも気持ちいい。
女の乳はもちろんシリコンだったが、けっこう上質で形もよかった。
舐めに舐められて、竿に移った。え?生?。ゴムをつけてほしいとちょっと思ったが、もういいか。病気になったらそれはそれでいいではないか。
セックスは佳境に入った。女の舌が竿や玉を動き、お互いの興奮が高まる。気持ちいい。凄く。テクニックは上の上。フェラに関する採点が厳しいオレが言うのだからすごく上手なのだ。
スペルマ残量がほとんどなかったが、オレはイけると思った。自分でも驚くほど簡単に、射精の準備が整った。ああ、これってセックスだよな・・気持ちいいセックス。ババアに挿入するセックスより100倍は気持ちいい。セックスって挿入しなくても出来るんだ・・。陶酔した脳味噌でそんなことを考え、そのまま女の口に射精した。
発射したスペルマは一滴残らず搾り取られて女の胃袋に収まった。咥えたまま離してくれない。もう1回すると言っている。いや、無理です・・・潮吹きそうになったので止めてもらった。オレの精子を受け止めた口でディープキスするが、精子の味はしなかった。
この倒錯感・・・。ブルースとは違う新しい境地だ。重症化しないことを祈ろう。
横になっていると、女が横に寝てきた。絶対2回戦されるなと思ったので、女の携帯が鳴った隙にシャワーへ避難する。
もうスペルマは出ないよ。残量がない。服を着て、話をする。女の年は20歳だった。男と寝るときはやっぱり若い方がいい。オレも若い時、一緒に寝たゲイの人に「若い男の子はそれだけでとても貴重な存在なの」と何度も言われたが、今その意味がよくわかった。女は年上がいいが、男は年下がイイ。
「いつ日本へ帰るの?」
「明日」
「え、寂しい。次はいつバンコクに来るの?」
「わからない」
「愛してる」
「オレも好きだよ」
抱き合ってキスする。相手は男だけど、もう男も女もオカマもヘチマもなかった。
しばらく指さし会話調で名前や職業の話をして、一緒に帰ることにした。
女は帰ってきっとオナニーするんだろう。オレのチンコを思い出しながら。
帰り際、自分のザックの中を覗いた。福沢・一葉・夏目が1枚づつピン札で入っている。ちょっと迷って渡したのは夏目だった。女は「貰っていいの?」といって、日本円をまじまじと見つめ、合掌して受け取った。
すいません、男です。
ホテルを出てタクシーを拾える通りまで歩く。
ナナホテル前に来た時に、オープンテラスでビールを飲んでいたニューハーフの集団に冷やかされた。
英語で「お前はゲイか?」と言っている。
オレは女に恥をかかせないように、そっと手をつないでキスして見せた。
「I love you ・・・」
「I love you ・・・」
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの、あの有名なシーンだ。野次は聞こえなくなった。
大通りのタクシーの前で別れる
「きっとまたバンコクに来てね!約束よ!」
「うん。また会おう」
もうすぐ夜が開けるというのに、バンコクの街はまだまだ活気がある。オレは歩いてホテルまで帰ることにした。ああ、もうバンコク滞在も終わりか・・。
でも最後チップを渡すとき、夏目ではなく、なぜ福沢を渡さなかったのか・・・自分の不明を激しく恥じた。あのシーンは世界最強の戦闘力を誇る福沢諭吉の出番だったはずだ。そうすればもっと完璧な映画が作れたのに。
男で始まり男で終わったバンコクの2日間(これらは2日間の出来事だったんですね)。素晴らしいフィナーレをありがとう。アリス、君のことはきっと死ぬまで忘れない。
捜査地点:ここらへん
捜査報告書:バンコクの夜に乾杯
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