2018年4月×日、長官より緊急指令が下りた

指令:湯田中温泉で裏風俗の捜査をせよ。

早速、捜査官が現場へ向かった。
なお、以下のファイルは全てノンフィクションであることに留意されたい




今回の訪問先は湯田中温泉だ。 どこにあるのかというと、長野県の北の方、新潟と群馬と長野の境目くらいにある。 ウィンタースポーツで有名な斑尾とか野沢の近くらへん。 なんでも、上山田温泉のような外国人をメインとした一発屋だか連れ出しスナックがあるらしい。


上山田温泉といえば――。思い起こせば2009年5月、きつつきの戦法を見破られ、 マンペを連射するコリアン女に逆切れされた挙句にオスペで発射の辱めを受け轟沈せしめられた事は記憶に新しい(ファイルナンバー172参照)。 2度の失敗は許されない。この長野の温泉街を攻略するには、並の作戦では返り討ちだということは良く解った。 これはもう鵯越と桶狭間と真珠湾を一度にやるくらいの大作戦を考える必要がある。

ということで、まず入念に情報を集めることにした。 いつも温泉街紀行は気まぐれで行くので、これは大変に珍しいことである(温泉街以外もだいたい適当なんだけど)。

まずはタレコミ。 これがかなり具体的に書かれているので、黒なのは間違いないと思慮される。 スナックに入らずともポン引きババアが出没するので購入できるとも書かれている。

続いて資料庫を漁る。 しかし、湯田中はあまり情報がないのだ。湯田中というより温泉街はもともと情報が少ないんだけど。 最も活用できる温泉街資料である「快楽温泉裏ガイド」には湯田中が載っていない。 資料庫の中を探すと08年くらいの雑誌の断片的な資料はあるのだが、「連れ出しスナックがある」くらいで詳しくは書かれていないのでわからない。


そこで私が思い付いたのが「アジアの雑誌」である。数年前にひっそりと発売されてひっそりと廃刊になった謎の雑誌だ。 これに連載されていた「アジアン色街を行く」という謎の読み物があって、たまに購読していた当時はタイスナに興味がなかったので何とも思わなかったが、 確かかなりマニアな情報が書かれていたのだ。とりあえず 何号にどのエリアが載っているのかわからないのでバックナンバー全部買って片っ端から読んでみた。

 これ。

するとビンゴ! 第6回と第19回で湯田中温泉が取り上げられているではないか。

第6回では、 ウドンタニ―出身の細身でスタイルのいい33歳の女を閉店後に購入してプレイしている。しかも朝までのお泊りコースだ。購入額は2万。 第19回ではノンカイ出身の自称28歳(元ゴーゴー嬢)を連れ出している。 この号が2013年の発売なので5年前だ。思い出ではなく実際にリフレッシャーが現地に行って書いてる感じなので、5年前はまだこれくらい遊べたんだと思われる。

しかしあらためて読んでみると、この連載は私が気になっていたエリアはもちろん、 ノーマークだった超マニアックなタイスナスポットも紹介されている大変質の高い資料である。正倉院の宝物庫に入っていてもおかしくない代物だ。 こういった資料を日本政府が大事にしないから日本は人身売買後進国とか勘違いする人が出てくるんだと思う。


こうして適当な事前学習の結果、 黒であることはやはり間違いなさそうとの結論に達し、とりあえず行ってみることにした。



 遠いよ

これが湯田中温泉の場所だ。関西から長野に行くにはどうするか。 電車で行くなら、大阪駅から東海道新幹線で名古屋まで行き、長野駅終着の「ワイドビューしなの」という特急電車に乗り換え。所要時間4時間くらい。 北陸回りならサンダーバード→北陸新幹線でこちらも4時間くらい。JR長野駅からは長野電鉄に乗り換え。湯田中温泉駅は長野電鉄の終点で、長野駅から40分くらい。 あるいは自走で行くなら上越から抜けるルートと、伊那の谷底を走るルートと、 上高地のアルプス越えをするルートがある。 どのルートも走ったことあるが、すべて8時間くらいかかる。

暇なのでバイクで行くことにした。 もっとも無難と思われる伊那ルートで。

 松本ついた。

まずは松本へ。ここで1泊して時間を潰すのだ。大阪から湯田中までは、最後の山道での走行も考慮すると10時間近くかかる。 できれば夕方には現地入りしたいので、1日で行くことを諦めて2日がかりで 万全の時間配分で挑むことにしているのだ。これは歴史の教訓を活かしているつもりだ。 またあの時のように時間に押されてへぼい韓国人をあてがわれたりしたら取り返しのつかないことになる。


 松本城

翌日。松本城を見たりして時間を潰す。 姫路城と同じ5層の天守で、あれより100年位前に造られているのだ。立派な造りなのに人気がないのは色が黒いからだと思う。 姫路のやつは白鷺城とか言われて修理中ですら修理中を見られるのは今だけとか詐欺みたいな商売してたのに、 こっちは観光客が段違いに少ないうえに別名がカラス城ですよ。黒がかっこいいとか田舎のホストかよ。

やはり長野は田舎だから首長の政治外交力が低いんだと思う。 京都の二条城とか天守すらなくてただの庭園なのに国宝で世界遺産にも登録されて、何の観光努力をしなくても修学旅行の観光バスがいっぱい来て鴨葱だし、 おこしやすとか言ってるけど、来たのは観光客の勝手であって誰も呼んでないし嫌だったら来るなって京都人はみんな心の中で思ってるし、 やっぱり都と田舎では治世も民のレベルも違うんだと思う。

歴史マニア的にも真田3代のおかげでクソしょぼい上田城の方が松本城より有名だもんな。真田の爺と親は政治力が高いからな。 真田の爺と親に立ち回りで対抗できるキャラは毛利元就とマンネルヘイムくらいだと思うよ。


さて、京都人による松本城の解説が終わったところで時刻は15時30分。Gショックによると本日の日没は18:25と表示されている。そろそろ行軍には良い時間だ。 ここから湯田中へ行くのに軽井沢ルートを取ることにした。通常は長野ルートを取るのだが、まさかの志賀高原を超えて背後から回り込むという作戦だ。 この標高2000mオーバーの峠を越えることで精神が研ぎ澄まされ、女を購入する際にギリギリの取引をすることが出来るのである。これはギャグではない。 デューク東郷がバイオニックソルジャー・ライリーと戦った時に取った作戦だ。 薬物によりドーピングされたライリーは、ゴルゴの狙撃をかわした唯一の登場人物なのである(ゴルゴ13・104巻参照)。


くの字の平野ではなく右側の山を突っ切るのだ。

てことで松本から佐久へ移動して、御代田から軽井沢方面→鬼押ハイウェー→万座ハイウェー→R292で渋峠越え→湯田中温泉、というルートへ。


渋峠を越えたのが17時。寒い。空気が薄い。


 さむいさむいさむい。

いやあ、くだらないことでだいぶ書いてしまいましたね。そろそろセックスの話に入れって?  まあ、推理小説家であれば 長野の田舎の小さな温泉街と外国人と特急ワイドビューしなの号、これだけの題材があれば傑作が書けるんだろうが、 私はそんな文才はないので、しょうもないことを書いてみただけですよ。で、しょうもないこと書いて終わるわけにはいかないので 面白いことをして話を盛り上げるしかない。面白いといっても芸人やジャーナリストみたいなことはできないのでセックスをするしかない。 普通のセックスでは面白くないので、面白くないセックスをしたら面白い話になるのでとりあえず面白くないセックスをしないといけないなと思っているだけだよ。



 ついた。

18時。日没前に湯田中温泉に入ることが出来た。

ぐるっと回ってみる。すごい田舎の温泉街だ。観光客も少ない。冬になるとスキー客とかである程度賑わうのだろうか。 でも今どきスキーやスノーボードしてる奴なんていないよなあ。昔は高須と言えば克弥じゃなくて高鷲スノーパークのことだって常識だったんだよ。関西では。


 駅があるよ。

電車の駅がある。長野電鉄の終着駅だ。車で来ると国道292から入ることになる。国道と駅の中間地点に歓楽街がある様子。 湯田中温泉の隣には渋温泉や穂波温泉やら10近くの湯があって、なんか日本人のほとんどが知らない小規模な温泉がいろいろ沢山集まっているバルカン半島みたいな土地のようだ。 昔は遊郭やストリップがあったとか聞いたこともある。

 道が。

この細道を下りるのが目的地への近道のようだ。


 あるよ。

ふむう、スナックはあるな。

誰もいない。一人も。20時くらいからOPENするのだろうか。ここは鳴くまで待とうホトトギス。焦ってはいけない。 暇なので足湯をシバいて時間を潰す。可愛い女がいないか人間ウォッチングをするが上玉はいない。というか人が殆どいない。

 しょぼい歓楽街。

19:30になったので一度スナック街を覗いてみる。タオルを首にかけて旅行客を装う。念には念をだ。 警察関係者と怪しまれては元も子もない。

メイン通りで、 外国人と思われる2人が開店準備をしている。可愛いかどうかを接近して見たら3Bだった。(3B=DEBU、BUSU、BBAのことです)

何気に会話を聞いてみると、タイ語ではない様子。聞きなれない言葉だ。顔立ちは東南アジアなのでフィリピン人かな。 一人はフィリピンパブへ消え、もう一人の女は小料理屋へ消えた。純日本風の店だ。 温泉街でフィリピン人がつくった日本料理で酒を飲むとかどうなんだこれ。

そうしてるうちに、こんどは温泉客がタイスナックへ入っていくので、開いたドアから女のクオリティを確認。まあまあだな。 別のタイスナックでも開店準備中の女を偵察するが、とびきりのはいない感じ。

その他、タイマッサージの2店も確認できた。あとはタイ飯屋がいくつかある。

 みろよ、確実にいるぜ。

タレコミで書かれていた古代神話風の名前のスナックを見つけた。 パッと見はスナックには見えないんだが。中はどうなっているのだろう。

困ったときのGoogle検索。ローカル掲示板を漁る。 うーっむ、なるほど。観光客というより地元客相手に成り立ってる臭いな。


うーっむ、Googleで検索したら古代神話の店の中で女とおっさんが歌ってる写真が出てきた。凄い世の中だな。 「お前いまこの店いるだろ?レビューとか写真とか投稿しろよ」ってGoogleに言われてうっかり投稿してしまった人がいたんだろうか。高齢者にスマホもたせると本当に危険だ。 まあ、インスタやってる若者も一緒かもしれんが。


こういったスナックで遊べばデートできる女もいる感じだな。 デートとか昭和な響きだが、まあセックスのことだ。 しかし、私の今日の狙いはポン引きを介しての購入なのだ。 温泉街では伝説のポン引きババアを探せ。ポン引きババアはどこにいる。


 むむっ

妖しい椅子を発見。匂う。彼奴め。どこに隠れている。 出てこい。上山田で見せた、オレを撃沈したあれをもう一度見せてみろ。


 メイン通り。

スナックの前で観察を続ける。怪しいところはない。観光客のふりをしてブラブラ歩いてみるも飲み屋から誘われる気配はない。ううむ。 1時間粘るもまるで突破口がない。そしてポン引きは現れない。案内をする老婆が現れるんじゃないかと思ってたんだがな……。


連れ込み宿があるという話だが、どこだろうか。 それっぽいビジネス宿は確かにあるのだが、廃業してる感じ。秘密の入り口でもあるのかな。それか車でラブホまで移動するのかな。


とりあえずタイ飯屋に入ってみるか? でも田舎の温泉街で一人でタイ飯くって何が楽しい? じゃあいっそスナック入るか? でもお茶飲んでビール奢ってオヤジのカラオケ聞かされてやっと女連れ出して一発でいいのか?  いや、それはダメだろう。


曜日、時間、ポン引き一等地、すべて押さえている。条件的にはこれ以上ない環境だ。 レーダーと経験からは、ポン引きがでてもおかしくはない。あるいは、もう少し大胆に女やママからの呼び込みがあってもいいと思う。 しかし、観光客が少なくスナック街は常連ばかりというのが懸念事項だ。 常連ばかりなら客を引く必要はない。

うーん。どうしようか。でも今日以上に条件の整う日はない。何度来ても同じだろう。 これでダメならこういうもんなんだと思われる。もう少し粘りたい。


 どこにいるんだホトトギス


あと少し。あと少しだけ。あと15分待てば老婆が現れるかもしれない。狭い温泉街をぐるぐる回って、座って、歩いて、ぼんやりして、コンビニ行って。むなしく時間が過ぎていく。


すっかり夜も更けた。


彼奴輩……。あの頃のきゃつはもういないのか。



時代とともに繁華街は変遷するので、湯田中も長野オリンピックのころ、あるいはリーマンショックまでは違ったのかもしれない。 ポン引きがいて女が買えたのかも。 いまはダメだね。この街の売春は出がらしだよ。いつか再興するときは来るのだろうか。 確かにタイ人はいるしスナックもあるし、飲みさえすれば女や店次第で連れ出しは出来るんだろう。しかしそんな中途半端な白か黒か判然としないものは裏風俗ではない。 はっきり黒でないと。


あるいは……。これが信州真田の土地で独自進化を遂げたタイスナの最強防衛システムなのかもしれない。どっちつかずで立ち回って存続させる。 そういえば、タイは先の大戦で日本と同盟の枢軸国スタートだったのに、終戦時にはちゃっかり連合国側になってたんだったな。領土もそのままで。 真田は関ケ原で東と西に別れて存続を図ったけれど、タイは日本にもイギリスにもアメリカにも適当なことばっかり言って両天秤を完遂した。


たとえ負けるとわかっていてもワンサイドに全部で死ぬまで戦うのが大和魂なら、こいつら最初からマイペンライなんだよ。 黒いカラスを見ても、「白くてとても美しいですね」と答えられるくらいの柔軟性と立ち回りが生き残りには必要なんだよ。わかったか。





捜査報告書:待っても鳴かないホトトギス。



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