2009年11月×日、長官より緊急指令が下りた

指令:皆生温泉で裏風俗を調べろ

早速、捜査官が手拭いを持って鳥取へ向かった。
なお、以下のファイルはすべてノンフィクションであることに留意されたい




皆生温泉というのは島根県と鳥取県の県境にある温泉だ。「みないき」ではなく、「かいけ」と読む。日本語は難しいという外国人の気持ちがわかりますね。日本人でも読めないんだから。

最初は「海池」で「かいけ」と読んでいたみたいだが、江戸時代に皆生という字が当てられるようになった。大きな池があって、「海池」と呼ばれていたからだそうだ。皆生温泉のちょっとためになる豆知識。

温泉の湧き出る海岸は、「日本の白砂青松百選」という名勝に指定され、また、トライアスロン発祥の地としても知られている。皆生温泉のちょっとためになる豆知識その2。

ためにならない豆知識としては、ここにはソープランドが存在する。で、ためにならないことを一生懸命人生を賭けて調べるのが捜査官の生きがいなのはご存じの通り。

今日は、この皆生温泉がXファイルの舞台となる。


えー、とはいえ別に皆生温泉が有名な裏風俗スポットという訳ではなく、ソープランドがあるので一発屋も存在するのではないかと勝手に想像して行ってみただけだ。四国も東海も飽きてきたので、北陸や山陰の陰気なところで陰気なセックスがしたかったというのもある。

行く方法は車か電車だが、私は車で行くことにした。走行距離は300キロ強、ダイハツの軽車両を用意して、あまり気合を入れずに10時に出発する。途中、城崎温泉にも寄り道する。山陰の国道は渋滞しないからいい。


で、午後10時前に到着。



そんなに大きな温泉街でもない。海沿いで解放感はありますけど。射的屋や土産物屋やらもなく、温泉情緒は皆無。皆生温泉だけに皆無。ふふっ。





ソープランドが11軒あるようだ。昔はストリップがあったらしいが、今は跡地も発見できなかった。

なんでこんな温泉地にソープがあるのか・・・。調べてこなかったのでわからない。事前に調べると調べてる途中に行きたくなるから事前には必要最低限しか調べないようにしている。 道中とか、帰ってきてから調べたりするほうがいい。(帰ってから調べたが、あんまりよくわからなかった。昔は旅館の芸妓が有名だったようだ。現地の案内板には、温泉は明治33年に漁師によって発見され大正9年に有本松太郎というおっさんが温泉地として本格的に開発を進めた・・とある。そのせいか、全ての道は1条通りから9条通りまで整然と区画されている。 当時の感覚では、ラスベガスを建設するようなノリだったんでしょうか。やり手実業家だったんでしょうなあ。この有本というおっさんは海沿いに銅像になってました)




ラブホテルが2件ある。その周辺を念入りに調べてみるが、怪しいところはない。

  ラブホテル

連れ出すことを目的としたスナックがないかも調べてみたが、この一角に飲み屋が数件あるだけだ。

 スナックが数軒・・

むう、困ったな。もしかしたらソープが閉まってから一発屋が出現するかもしれない。ということで、ソープが閉まるまでの時間つぶしに繁華街の朝日町のほうへ行ってみることにした。

 繁華街の朝日町


皆生温泉から車で10分くらいで朝日町に着く。路地が入り組んでおり、ボロいスナックやらが密集している。そのなかに今風のキャバクラもある。風俗店は見当たらない。エステが数軒ある。エステはエロい事をしてくれそうな感じだが、捜査の対象外なのでスルーする。ひととおり廻って、24時になったので温泉へ戻ることにした。


ソープはぼちぼち明かりを消して、最後の駆け込み客を入れようと客引きが頑張っている。ラブホテル周辺をもう一度見回ったが、怪しいところはなかった。これは白ですね。どうしようかな・・。

時刻は深夜1時、どうしようか考えながら、夜の温泉街道をぶらぶら歩いていると、1件のソープの前で従業員に話しかけられた。

「どうですか?」

「え?まだやってるの?」

「ええ、まだ行けますよ。最後だから16000円でいいや。こっち!」

ソープなんて行く気はなかったのだが、そのまま帰るのもどうかと思うし、なによりこの時間に売れ残っている女がどんなものか見てみたくなった。ちょっと入ってみよう。

裏口から中に入るように言われる。待合室は電気が消され、フロントから明かりが漏れている。フロント内では従業員が札束を数えている。

「12時までちゃいますの?」

「・・・」

「16000円でいいの?」

「はい。いいです」

難しい顔で金を計算しながら、ぶっきらぼうに答える従業員。えっと、この店1番安いコースで30000円で、1番高いコースで58000円なんですけど。いくらなんでもディスカウントしすぎじゃないですか。まさか、掃除のおばちゃんが相手するとかじゃないよな・・。

金を払うとすぐに案内され、そのまま廊下で女と対面する。ドレスを着た20代の女だった。普通にまあまあ可愛い女。あ、どうも。

個室で茶を飲みながら話をする。まわりには飲みかけのコーラやお茶が散乱している。たぶん帰る準備をしていたのだろう。で、浴槽にお湯がためられ、お互い服を脱ぐ。裸になったら椅子。続いて潜望鏡。ほいで、マットが始まる。うつ伏せから仰向けに、ゴムがついて騎乗、そこから正常位。さっさといってしまおう。高速でピストンして一気に射精。我ながら早かった。素晴らしいスピードだ。

予想通り、ほんと、やっつけでセックスしたって感じでした。もうね、誰もが早く帰りたいんです。時刻は草木も眠る丑三つ時ですよ。新宿歌舞伎町ならまだしも、ここは人口が全国一少ない鳥取県のソープなんです。店が終わって外へ出たら真っ暗で日本海の冷たい風が吹きつけてくるんです。この建物にいるすべての人間は私の射精が終わるのを待ってたんですよ。 早く逝け、早く逝けって。お前が逝くまで帰れないぞって。

ローションを落としてもらって終了。

タオルで体を拭きながら、茶を入れてもらう。冷蔵庫の上には入浴伝票がある。ちらっと目に入ったそれには、本日この女には4人の客が付いたことが書かれていた。


服を着てタバコを吸う女。一人でにやにやしているので、聞いてみる。

「もうすぐ帰れるからうれしいの?」

「え、うふふ・・うん!」

その笑顔が一番かわいかった。

時間はまだ残っていたが、そんなことはこの建物にいる誰もがどうでもいいことだった。だから帰ることにした。逝った人間が現世に長居するのはよくない。

階下へ降りて出口へ。女と従業員が見送ってくれた。私が店を出るか出終わらないかのうちに、「じゃ、清算しようか」という声が後ろから聞こえてきた。私は振り返らずに店を出て、真っ暗になった通りをコンビニへ向かう。


皆生温泉のローソンでは勤務を終えた女がおにぎりを買ったりしているのを見ることができる。けっこう若くて可愛い女が多い。なかなか鳥取県もやるじゃないか。

 明かりを消したソープランド


あ、ソープって裏風俗じゃなかったね。まあいいや。







温泉データ

皆生温泉

開湯:明治33年
源泉温度:64.2℃
湧出量:4456.5g/分
PH値:7.3
泉質:ナトリウム・カルシウム塩化物泉
アクセス:鉄道 - JR伯備線 米子駅/車:米子自動車道 米子 I.C

参考:皆生温泉旅館組合








捜査報告書:深夜のソープで一発16000円也



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