マンコで勝負する女と上級ソーパー
「予算どれくらい? うちは総額で3万以上からの店なんだけど。じゃあね、お兄ちゃん。2万3千円でいいよ。80分ね」
たしか前来た時もそんなことを言ってた。その前も。ああ、これが彼のクロージングトークなんだ。と解った。
今日のオレは3度目の鎌倉御殿。幸いなことに? オレの顔はまだボーイたちには憶えられていないようだ。やはり憶えられるのは恥ずかしい。
×××でも喰ってそうな不自然に痩せた男に、車を広いガレージへと誘導される。
車を降りると、今日はパチンコ勝ったのかを聞かれながら、これまでのように待合室に通される。もう余裕のよっちゃんイカだぜ。
今日のお相手は菊池さんをあてがわれた。掛け声とともに開かれたカーテンの向こうでひざまずいていた菊池さんは、名前のダサさもさることながら顔も不細工だった。不細工だけど妙に血色が良くてお多福さんみたいな笑い顔。愛想はまあまあ。年齢は30代か、40代なのか判読不明。
個室へ行くと、挨拶もそこそこにプレイが開始される。これまで経験した入浴作法と同じように、脱衣から椅子、潜望鏡、マットと進む。プレイは特に凄いわけでもなく、雰囲気も特にエロい訳でもなく。これは決して自分がプレイに慣れたわけではなく、これがこの女のスキルなんだろうと思った。
しかし、マンコが凄く締まった。これまで食ったマンコで一番締まった。
オバサンなのに19歳のコリコリまんこより締まる。いやや締まるというか、入れるときは簡単にすっと入るのだが、格納されるとギュッと締まるのだ。若くて未開発の狭いマンコとは明らかに違う感覚だ。これはいったいどういう仕組みのマンコなのか。マットの上で馬乗りになられながら大脳新皮質のデータベースに問い合わせてみたが該当なしという答えだった。
ぐいぐい締め付けてくるマンコ。揺れるマットで騎乗で激しく動かれると、セックスを楽しむ余裕がない。それでもなんとか高まってきたので発射する。
が、しかし。締め付けが強力な為、精液が全て放出されず竿の中に止まってしまった。なんとも後味の悪い射精。キツ過ぎるのも考えものだなと思った。抜いてからもまだ竿がジンジンする。
そのあとベッドへ。竿の感覚がおかしくなっておりベッドではいかなかった。ごめんなさいねとか言って、いや心の中では思ってないだろって。このお多福野郎。
退室時は、とくに名残惜しそうにされるわけでもなく、でも名刺はしっかり渡される。菊池さんの顔はテカっていていかにも健康そう。今まで見てきた風俗嬢の中では最もテカってた。
帰りは上がり部屋へ案内された。ツメ茶が出てくる。真ん中に大きいテーブルがあって、右側のソファにはインテリジェンスなメガネをかけたジャケット姿のおっさんが座っている。茶を飲んでいると、話しかけられた。
「この店はよく来られるんですか?」
「え? ああ、3回目です」
「そうですか。いつもここですか?」
「いや、まあ、そうでもないですけど」
「普段はどちらへ?」
「いや、まあ、その、中の方とか・・」
「あああ、そうですか。私は雄琴に来るといつもこの店なんですよ。なぜなら外したことがないんです。いつもかなりレベルの高い子が出てくるんで。ここは外れがないんですなァ」
「はあ、そうですか」
「私はさっき1回終わったんですが、やっぱり良かったですね。そちらはどうでしたか?」
ソープランドで40半ばくらいのおっさんに、そんなこと聞かれても。オレまだあんたの半分も生きてないんだが。こいついったい何もんだ? 変態か? キチガイか?
オレの胸の内を見透かしたのか、オレの顔にそう書かれていたのか、おっさんは若干慌てたように取りなおした。
「や、これは申し遅れました。わたくし、風俗愛好家で作る風俗同好会のものでして。今日は東京の方からやってきました」
別に脚色してない。本当にこのように言われた。オレは答えずに部屋で女に貰った名刺を見せる。
「ほう、菊池さんはどうでしたか?」
「あ、よかったです」
「あああ、良かったんですか!? 美人でしたか! 私も続けて入ってもよろしいですかねッ!?」
「あ、あ、いやあ、顔はいまいちでした」
「でもよかったということは? テクニックが凄かったんですか?」
答えに困ったオレは、マンコがすごく締まったんだと正直に言ってしまった。
「あああ〜あ、アレが良かったんですか。そうですか。アレがね。ああ、アレが」
おっさんはメガネの奥の小さな目をカッとひらけ、大げさに納得顔して頷く。これで終わりかと思ったがおっさんは喋り続ける。
「私は今までこの店ではずれを引いたことが無いんですよね」
「はあ、はずれがない」
「仲間はね、みんな他の店に行ったんですが、私はこの店が良かったんで。そしたらやっぱりイイ女の子が出てきましたね。最初はやっぱり鎌倉ですね」
「はあ、最初の一発は鎌倉」
「今日は2回3回行くつもりなんですがね、問題は2回目をどの店にするかなんですよ」
「ああ、2回目をどうするか」
「2回目も続けてここで入るか、それとも別の店にするか」
「ああ、ここか別の店にするか」
「ここは外れたことないんでねえ。本当にどうしようかと今でも迷ってるんですよ。どうしようかなあ。うーん、菊池さんはダメですかァ。どうしますかなァ?」
真剣な顔で訴えられる。ここで気の利いた事を言わなければならなかったんだろうが、オレ他の店とか行ったことないし。唯一いったのは川筋通り地獄の1丁目の青い鳥だし。出てきたのしゃれこうべ婆だし。フィーバーゴースト1番絵柄だし。
「ま、まあ、他の店に冒険と言いますか、行ってみるのもいいんとちゃいますかね」
「そうですなあ、他の開拓もしないいといけませんねえ。よし!」
おっさんは一人で納得したので、オレは帰ることにした。
上級者と思わしきおっさんに他の店を開拓するべきだとアドバイスしときながらゲートの中にすら入ったことのないオレは、これを機会に次は他の店にも行ってみようと思ったのだった。
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