雄琴ソープに行こうと思ったわけ


 ある春休みのこと。オレは木屋町のヘルスへ行った。京都の風俗街は玄関口の京都駅ではなく、四条河原町周辺、通称で木屋町にある。 ソープは無くてヘルスとピンサロが20〜30ほどある。お洒落なのはヘルスだ。ピンサロは貧民とおっさんが行くところ。 ピンサロは四条通りより上、ヘルスは下側にかたまって立地している。

 ヘルスデビューして大分経つ。だからこのへんのヘルスはもう堂々と入ることが出来る。

 今日はイニシャルで「J」という初めての店に入ることにした。たしかこんな名前のディスコクラブがあったような気がする。 店の前で立ち止まり、小窓から顔を出すボーイと料金及び条件の確認作業を行う。

「女の子選べるの?」

「ええ、選べますよ」

「お金かかる?」

「指名料は無料にしますから。どうぞ」

「じゃあ、遊んで行きます」

 オレは値引きが出来たと若干得意な顔になりながら、颯爽と自動ドアから中に入った。こういうのを鼻の下伸ばしたバカ面って言うのかもしれないが。

 天然パーマのおっさんボーイが耳鼻科の待合室みたいな固い長椅子に座るように言い、続いてプラスティックケースに入ったパネルと料金表を出してくる。 おっさんが「今日は時間は何分のコースで・・・・・・」と言おうとするのを遮ってこちらから聞いてみる。

「めちゃくちゃ感じやすい子とかいないの?」

「・・・・・・い、いやあ、私ら経験ないのでねえ」

「直ぐ濡れる子」

「いやあ、なにぶん、私らはねえ、経験しませんからねえ・・・・・・」

 成人前の子供が50歳近いであろうボーイに風俗店の待合室でする会話ではないのだが、脳内とチンコだけは大人なので仕方がない。ボーイは戸惑いながらも丁寧に対応してくれ、結局、「新人」のシールが貼ってある女に入ることにした。しばらく待っていると案内される。

 イソジンとボディソープの匂いが混じった、これぞ風俗店という臭気の中、狭い階段で2階へ上がる。プレイルームで対面したのは可愛い系の乳のデカい若い女。あ、どうも。

 聞けば入店してまだ2週間らしい。年齢は23歳。ふうん、ボーイなりに考えたのかもしれない。新人=素人=濡れやすいということか。

 会話をしながら服を脱いでお互いが全裸になると、洗面台かシャワーか判断しかねる設備でチンコを洗ってもらい、プレイの開始だ。

 新人の割には濃厚なプレイ。とりあえず上から下まで一通りペロペロやってもらったら交代してクンニだ。やっぱヘルスではマンコをたっぷり舐めて最後は女の口に濃い目のスペルマをブチまけるのが基本だろ。でっかい乳を下から手のひらで包んで左から右へ、乳首を口に含んで転がして、ゆっくり焦らすように下へ移動する。 半開きになった太ももを両手でぐいっとやると、あとは自動的に股が開いてマンコが露になった。ほの暗い照明の中で濡れたマンコがよく見える。

 大陰唇のまわりを一周するように舐めて、その間に左右の手はセキセイインコの胸毛くらいのフェザータッチで下腹部から膝までをいったりきたり。そのたびに女の白いからだがぴくぴくと反応する。 声が出始めたら待ちきれない様子で汁を垂らしている部分に舌を当てて、下からクリトリスにかけて一気に舐め上げる。

 これを幾度か繰り返して、緩んだホールに舌を差し込んだあたりで女が入れてくれと言い始めた。 「入れて」と言われても、何をどこに入れるのか、言っている意味がわからなかった。

 5秒くらいの沈黙の後、チューしてと言われてキスして、そのまま交代してフェラで抜いて貰った。

 ベッド脇のエリエールが5枚くらい抜かれ、女の口内から精液が吐き出される。その流れで一気に後始末のシャワーまでいく。

 シャワーも終わって40分のうち半分ちょいが過ぎた状態。ベッドのふちに並んで腰掛けて話をするこの時間が好き。顔面汁まみれのクンニの次に楽しい時間。

「あ、時間こんなに余ってる。どうしよう」

 タイマーを見ながら女が焦ったように言う。いや、それはトークの時間を確保するためにわざとオレがそういうプレイ時間配分にしたんだよっとは勿論言わずに、残った時間はトークだよ。と白々しくフォローする。

「あたし、時間配分が出来なくてさあ。こないだも一杯時間余らしちゃってぇ。何の話したらいいのかなあ。ねえ、彼女とかいるの?」

「今はいないなあ」

「今はいないってことは、前はいたのねぇ? 最近別れたの?」

「そうやなあ」

 全くそんなことないくせに、そうと言う。

「そっかあ、さみしいんだあ」

 さみしいからここへ来たのかと思ったのかもしれないが、それはそれで好都合。

「じゃあオレと付き合ってよ」

 なにが「じゃあ」なのか解らないが、こういうシーンでは何故か辻褄が合っているような気分になるから不思議だ。

「あー、あたし彼氏いるから」

「あ、そうなの。いいねえ」

「でも、この仕事のこと言ってないからさあ、普通の昼の仕事してるって言ってるから仕事中に電話かかってきたらどうしようって思うの。この有線の音楽がさあ、バレるじゃん?」

 この女における彼氏の定義がどういうものなのかは不明だが、男の立場からして、「オレの女は木屋町のヘルス嬢」って周りに言うのはカッコいいと思うんだけど、やっぱり世間ではカッコ悪いことになるんかね。そういえばオレの友人の大半はヘルスへ行ってる男は負け組みたいに思っているからな。

 ひとしきり、如何にしてこの女の彼氏を騙すかと言う話になり、男性目線からの意見をいろいろと聴取される。そしてタイマーがそろそろ鳴りそうな頃に、女は思いついたように言った。

「あ!! 女の子紹介してあげるよ? 彼氏いないコ居るから。そのコ19歳だよ」

「ほんとに?」

「うん、めちゃ可愛いよ。ピンサロ嬢だけど。じゃあ、こんど飲み会を設定するね。携帯番号交換しようよ。連絡するから」





 木屋町のデルタゾーンにあるヘルスを全て行き尽くして、風俗嬢コマすのもクンニでいかせるのも簡単だって思ったオレは、もっと稼ぎの良いであろうベテランソープ嬢と仲良くなりたいと思ったのだった。そして、竿師を目指すには、クンニではなくもっとセックステクニックを磨かなければならないとも。



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