こりっこりの女


 今日は1月5日、お正月である。雄琴で姫はじめと洒落込もう。ってね。向かった先は、ゲートをくぐって道がU字になる辺りの外郭に位置する店。初めての店だ。やはり特定の店舗ではなく、色々な店を覗いてみたいのだ。

 ボーイに誘導されてガレージに車を止めると、店内へ。

 待合室はとても混んでいた。満員で座るところも無いくらい。今までの雄琴とは明らかに様子が違っていた。黒い色のソファに座らされる。なんだこの人数は。全員の目が野獣兄さんになっている。野獣兄さん祭りだ。

 無理やり野獣兄さんと猛獣兄さんの間に入れられる。お菓子やお茶が出てくるわけでもない。やることがない。テレビすらない。雑誌もない。おい、確かここは雄琴の料金的には中級店じゃないのか。

「すぐのご案内です。少しだけお待ちいただきます」

 白髪のボーイが、空のお盆を持ってやってきた。

「ではこちらで総額を頂きます。本日は80分コースのみとなります」

 28800円を徴収された。んでそんなに高い? そして800円とか半端?

「本日は年始の価格となっております」

 最初に言いやがれ。オレはこのまま引くのも癪なので、わざとらしく咳払いなどして尋ねた。

「○○っていう子は今日はいけるの? 写真は見れない?」

「今日はもう一杯で」

 半笑いで言われる。あかん、これじゃオレも罠にはまった野獣になってるやないか。くっそー、こいつら動物園の飼育係気分なんや。動物園じゃ無くて養豚場か。くそー。餌の時間を管理してるから偉そうな顔してやがるんやな。

 ジジイがお釣りを持ってやってきた。釣りを入れたお盆の中央に5円玉がある。おつりかと思って取ろうとしたが取れない。

「あはは、皆さん取ろうとされる。これは御縁がありますようにってことなんです。取れなくしてますから」

 笑いながら言われる。ぶっ殺すぞジジイ。

 怒りを押し殺して狭いソファで待つ。待っている間に一人、またひとりとプレイに呼ばれていき、そのたびに野獣が勢いよくソファから飛び出していく。ぼんやり眺めながら時間が過ぎていくが、まだオレが呼ばれる気配はない。直ぐのはずが、もう60分以上待たされている。煙たい待合室。なんで衝立すらないのか。

 90分ほど経った頃。やっとオレの番が回ってきたようだ。ほんと、これじゃ穴を借りに来ただけじゃないか。イラつきながら案内される。案内された先には、顔の形がおかしい女が立っていた。

 ねずみ男だ――。ここはモンスターハウスだったのだ。

 ねずみ男はカツゼツが悪い。何を喋っているのか解らない。適当に相槌を打ちながらプレイルームへ。散々待たされてこの商品。ああ、最悪だ。

 重たい空気が支配する部屋の中。オレが小さいテーブルの脇に座って黙っていると、ねずみ男が冷蔵庫を開いて中を指さした。中には喫茶店の冷庫のように、ソフトドリンクやアルコール、丸めたお絞りが整然と並んでいる。

「どれがいい?」

「おちゃ」

 ねずみ男は黙ってウーロン茶を取り出して紙コップに注いで、こちらに突き出した。紙コップに注ぐのが雄琴仕様なのかもしれない。毎度毎度の紙コップに、そんなことを思った。

「ウーロン茶でいいよね。お兄さんは趣味は何かあるの?」

「音楽とか」

「へえ、お兄さんは何聞くの?」

「メタル」

 いきなり、ねずみ男がエアギターを始めた。

「こんな感じでキュインキュイーン。ジャジャジャジャ。あ、ほらここのバーみたいなのでキュイーンってするんでしょ。キュインキュイーーーーン」

 バカだ。早く死ね。

「クキュキュ〜〜〜〜〜キュインキュイーーーーン」

 死ね。フルスイングしたマイクスタンドで頭カチ割ったろか。

 ああ。オレはそれでも情けない作り笑いをしてこのショウを見ている。なぜならこれからセックス出来るからだ。迎合してまでセックスしようとしている自分が嫌になった。そんなにダメ出しするならアクセルローズみたいに途中で帰りゃいいのに。この女より早くオレの方が死ねばいいのにって思った。

 エアギターが終わり、唐突にセックスが開始された。お互いが全裸に。超軽めの椅子。入浴プレイなし。

 ベッドでフェラがあって、ゴムが付けられて、珍しく騎乗ではなく最初から正常位ですることになった。もしかしたら今日は混んでいるからセックスしまくって膝がガクガクきているのかもしれないな。ちらっとそんなことを考えながら、チンコをぐっと握られてマンコへ誘導される。

 あっ。

 入れた瞬間、竿に圧迫感、亀頭に違和感。1往復させると、ゴム越しながらマンコの上側の粒粒が凄いことに気付いた。これは・・・・・・。

 2往復、3往復。コリッコリコリッコリするんだ。音が聞こえてきそうなくらい。18歳のマンコがツブ貝のようなコリコリだとしたら、このマンコは数の子みたいなコリコリ。噛んでも噛んでも粒粒が残る。みたいな。

 不細工な、ねずみ男の顔を見ながら気持ち良くて20秒くらいでいった。悔しかった。そして時間は一杯余っていたけど2回目のセックスはなかった。とても悔しかった。帰ってからコリコリを一生懸命思い出してオナニーした。いったあと、スペルマを受け止めて濡れたティッシュを見て、死にたくなった。




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