彼女の名前は「ちこ」といった。間に「ん」を入れたら「ちんこ」になる。二人でそんな会話をしたのを憶えている。




店長がパネルを出しながら、流暢に言った。

「あ〜ぁ、お客さん運がいい。今日は可愛い子が一杯いてますよ。この子は入ってまだ3日目ですよ」

そんなトークにつられて「ちこ」を指名したのだった。



彼女はこの世界独特の紫色の匂いが全く無かった。なんでこんなところにいるのだろう。彼女の事が気になった僕は、その1週間後に指名した。相変わらず下手糞なフェラで、射精出来なかった。



3回目の指名は、その1ヶ月後だった。

その時は溜まっていたこともあり、彼女の口内に発射した。

「フェラ、上手になったね」と言うと、

「ホント?」と嬉しそうだった。

そして、彼女は借金があることを僕に告白した。

当時は風俗店で働くことは、今ほど敷居が低くは無かった。求人誌すら手に入らない時代だった。「風俗に入るのは借金の為」 という理由が、まあ当たり前とまではいかないが、妥当な理由になる時代だった。

でも、「頑張って返す」と言っていた。何で借金を造ったのかは聞かなかった。だから知らない。

いつも彼女は剥がれかけたぺティギュアをいじりながら話をする。時間は40分。フェラが下手糞なので、指名しても話をするか僕がマンコを舐めるかになった。どっちが客かわからないか状態だったが、声を押し殺して感じる彼女のマンコを舐めるのが楽しかった。


彼女とはセックスしなかった。マンコがとっても綺麗なピンク色で、今まで見た中では一番綺麗だったから。。と言いたいところだが、本当の理由は、セックスしたら駄目だという店のルールを彼女が絶対に守るだろうと思ったから。

彼女の借金残高は、しゃぶったチンチンの数に比例して減っていくのだが、それに反比例して彼女の顔色は悪くなっていった。そして、この世界特有のあばずれ感が出てきて、まあ貫禄が出てきたとでも言おうか。毎日小部屋の中で太陽も見ずにしゃぶってたらそうなるのは仕方がない。味噌汁と納豆は欠かさず食べてると言ってた。

フェラのテクニックがだんだん上がっていくのがわかった。

彼女に時計をあげた。時計が欲しいと言っていたからだ。ベビーG。店に行く前に取ったパチンコの景品だった。喜んでくれた。


借金がなくなるまでの付き合いだ。


やがて彼女はめでたく?退店した。当然、借金がなくなったから辞めたのだと思う。時期的にもそんな感じだった。連絡は無かったし、そんなものは必要なかったが、なんだか寂しかった。

その寂しさの原因は、彼女が本来、繁華街に生きる人間じゃなかったからだと思う。



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