2013年8月×日、長官より緊急指令が下りた

指令:もっと浜島温泉を調べろ

早速、捜査官が伊勢へ向かった。
なお、以下のファイルはすべてノンフィクションであることに留意されたい


数年ぶりの温泉街紀行だ。このシリーズまだ続いていたらしい。

そろそろ東北のあの温泉とか北関東のあの温泉とかですか?っていう期待をする人が居そうなので、その期待を裏切るために今回の紀行は浜島温泉をチョイスした。

浜島温泉については、前回の捜査ファイル(ファイルナンバー160)をアップして間もなく(2010年)、タレコミをしてくれた人がいた。2008年の情報と断ったうえで。 詳しくは書けないが、スナックでそっち方面の手配もしている感じだったとのこと。具体的な購入時の様子は書かれていないながら、十分に裏付けは取れているような内容である。

なお、これがクロであったとしても、5年経った今でもあるかどうかという問題。それから、 仮にあったとしても、スナックに入ってそれなりに飲まなければ連れ出せないなら私的には食指が動かない。 やっぱ飲むのはおざなりで、セックスはそれなりじゃないとね。

タレコミ人の小豆さん(仮名)の情報から、場所はほぼ特定できるのだが、ポン引きは100%出没しないだろう。 町全体を回って、スナックの前で張り込みでもするか。出勤したママを捕まえて偶然を装って話をするか。

スナックに入って酒を飲みながらの情報収集では、私の裏風俗に対する心情からしてダメなのだ。 究極的にいえば、そのまま意気投合してママとセックスとかになったら裏風俗もクソもなくなってしまう。 私はキャバ嬢にはモテないがババアにはモテるから、こういった出来事も6%くらいの確率で起こり得る気がする(気のせいだろ)。

それにね、やっぱり浜島というからには外国人でないと。ブルースやロマンが無いじゃないですか。 三重県はタイ人太平洋ベルト地帯に含まれる県なんだから。(*タイ人太平洋ベルト地帯:京葉〜京浜〜東海を結ぶ、繁華街型タイ人の顕著な生息エリアを指す。教科書には載っていません)

まあ、浜島にまだ売春外国人が居るのか居ないのかをもう少し確認したいと言う事ですな。



夏の暑い日。ホンダのマシンを用意して行ってみた。

前回の探訪では時間配分を誤り真っ暗になってしまったので、今回は早めに出て夕方には着けるように計画した。 大阪の門真からR163で川沿いを走って三重県の津へ抜けるルートを選択。深夜3時に出発する。 津からはR23へ。鳥羽を越えると海沿いのパールロードを走って、鵜方を越えて賢島を越えたらもうすぐだ。

県道17に入ってから、岬周りの細い道へ入る。遂にやってきたぞ。浜島町だ。 漁港があって船が沢山浮いている。漁村って感じですな。

 漁港

前回メインに調べたのは漁港側ではなくてビーチ側だったが、本来の繁華街というか浜島の中心地はこっち側になるようだ。 このあたりは昔、遊廓があったらしい。

 ここらへん

僅かにあるスナックはまだ時間が早すぎるし当然開いていない。ま、それは想定内で、明るいうちに外国人の痕跡を探すのだ。食料品店やら魚市場を見て回る。特に怪しい点は見られない。

さらに小さな岬をぐるっと回ってR260へ入る。道の端にデッカい伊勢海老が何匹かいる。今日は明るいうちに来たから全体像が良く見える。

 リアル伊勢海老

 町を囲んで防潮堤があります。要塞みたい。

一通りバイクで回ってみる。ひなびた漁村なんだが、ビーチで海水浴やバーべきゅする人が20人くらいいてるので、 まあまあ活気がある。4年前は夜だったからヤバかったもんなあ。

砂浜へ降りると、海が透き通って綺麗なので、さっそく入って遊ぶ。

 きゃっきゃっ


次に第2ポイントの浜島名物ストリップ通りへ行ってみる。

あっ!



これは・・・・・・。ずいぶん崩壊している。手前のスナックも無くなっている。 前に来た時はスナックの看板がついた建物があったんだが。

さてどうしたものか。とりあえずこの写真を撮ろう。

 ストリップ通り全景


「素敵やろ」

ふいに声を掛けられた。焦って振り返ってみると一人の婆さんが立っている。年の頃80過ぎか。

「素敵やろ。台風でこんななったんや」

「はあ、そうですか」

なかなかに人懐っこい笑顔の婆さんだ。 私は思い切ってこの婆さんに事情聴取を試みることにした。温泉街では伝説のポン引き婆を探せっていうじゃないか(オレの説)。 ポン引きじゃないけど、きっとこの婆さんが道先案内人のはずだ。まちがいない。

話を聞くと、婆さんは聞き取りにくい小さな声で喋ってくれた。 なんでも、この建物は台風が来たときに壁やらが飛ばされたらしい。ガラクタの片づけが大変だったと言っていた。それにしても素敵って。どんなセンスだよ。

「で、蘭はスナックでしたっけ?」

「蘭はヌード。知ってるか? ここにもあったんや。ちず言うてな」

「へえ、昔は一杯ありましたよね」

「これが蘭。その隣が夢。こっち隣がちず。奥が浜島劇場」

蘭はスナックの看板が出ているが、昔はストリップだったそうだ。確かにスナックにしたら建物や看板が大仰だわな。 ヌードショー夢はその横と言うか奥地にあって、さらに手前の横には「ちず」(漢字不明)というストリップがあったそうだ。

 ストリップ夢

 ストリップ蘭

 ちずのあったところ

奥の十字路の右側には浜島劇場。通りの奥の建物は昔は旅館で、それらの旅館に漁師が泊まったらしい。 浜島温泉のランドマーク的存在であるホテルニュー浜島が温泉を掘り当てたのは1985年、2本目を掘ったのは1997年らしいから、 それまでは観光客は少なくて宿泊施設は漁師で成り立ってたんかもしれん。しかし、こういった伝説系の婆さんと話すと時間軸が長すぎて戸惑う。 下呂温泉の伝説婆、石和温泉の伝説婆、熱海温泉の伝説婆もそうだった。 昔は昔はって昭和時代のことを昨日のことみたいに言われてもな。熱海の伝説は死んじまったらしいけど。


 ストリップ浜島劇場

 ストリップ通りの終点。右側に旅館だった建物がある。左はスナック跡。

婆さんの話によると浜島漁港に入る船はカツオ漁の船団で、陸に上がった漁師は半端なく羽振りが良かったらしい。みんな万札をたくさん持っており、 1000円札感覚で使ったそうだ。 朝になってストリップ通りのイモ畑に金が落ちていることがあって、地元民は翌朝はイモ掘りならぬ金拾いをしたとか。 気分が悪くなった男はイモ畑で休んだらしく、その忘れ物らしい(笑)。ほんとかよ。 やはりエロのメイン顧客は温泉目当ての観光客ではなくて、漁師だったんだろう。そもそも温泉掘ったホテルニュー浜島からして団体客を受け付けない方針だしな。

漁師の話、婆さんの昔の話、漁港の話、だいぶ話しこんだので、そろそろ確信方面へと話題をすすめる。 勿論、いくら話しこんだといっても「体を売ってくれる外国人が居るか調べに来ました。もし居たら買いたいんです」。なんてストレートには聞けない。

遠回しに聞いていく。まずは外国人の話へ。

「外国の女の子沢山いたよ。みんな綺麗でな。みんなちゃんとショーやるンよ。素っぱだかになるんと違ごて、一枚づつ脱いでいってな。 漁師をヌードに連れていくのはな、私ら女なんや。船頭をな、ヌードに連れていくんや。旦那らはヌード行ったらダメでな、私らが連れていくんや・・・・・・」

それってポン引きじゃねーかよ。とか思いながら、スナックの話へ持っていく。 婆さんは、あれがスナックでむこうもスナックで、一杯あった、と指さしながら説明してくれた。

 荒れ放題のスナック跡

婆さんの説明がひと区切りすると、今度は私が聞かれた。

「あんた、昔のころを知ってるんか」

「ええ、外国人が沢山いてストリップがあって・・・・・・スナックがあったでしょ?」

もちろん自分では観たことも遊んだこともないのだが、当然のような顔をして「知っている」と言うと、婆さんはこっちを真っすぐ見て口を開いた。

「外国の女の子はな、みんなええ子やったんやで」

「・・・・・・今はもう居ない?」

「今はな、この道はな、猫の子一匹通らんのや」

浜島は漁港である。しかもカツオを採っていた。カツオは猫缶の原料。今はそれを食べる猫すら居ないと言うことだ。 なんてカッコいい風刺なんだろう。

私は諦めきれず、なにを聞こうかって困っていたら、 婆さんが「今は猫の子一匹通らん」と再び自嘲気味に言った。


私には、もう何も聞くことはなかった。さよなら浜島温泉。







捜査報告書:猫の子一匹通らん。



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