指令:若松で日本最安値を経験せよ





若松区。北九州の最北部に位置する。明治時代、若松港は筑豊炭田の積出港として栄え、現在でも石炭関連会社の 建物が残っている。なんでも全国の採炭量の50%は筑豊産で、その全てをここから積み出していたというから 驚きである。 そんな港町だから、かつてはお約束の遊郭があった。大正から昭和初期にかけての遊郭(連歌街遊郭というらしい)は 大変な賑わいであったとされる。現在は風俗店は1軒も無い。 夜の高塔山公園から眺める洞海湾は、かつての繁栄を訴えるかのように美しく、ブルースを感じること請け合い。






1発5000円。

格安風俗というのはあちこちにあるが、これには誰も勝てないのではないか。5000円だからサービスが悪いとか言う人もいるかもしれないが、国内では最高のサービスとされるセックスまでして、なのだから。さすがにぐうの音も出ないだろう。

それにしてもセックス1回5000円というのは、なにか勘違いしてるとしか思えない価格である。うかつに近寄ったら木っ端微塵にされそうな勢いだ。


日本国では、4箇所で1発5000円の大安売りをしているという。1つは有名な沖縄の前栄原、2つめは神奈川県の安浦。3つめは愛媛県の土橋。そして、ここ福岡県若松である。

私もこれらを以前から知っていたのではなく、北九州の情報を調べているときに断片的に出てきたものである。



実際、北九州の風俗情報をネットで調べても、若松の名前が出てくることは一切無かった。唯一出てきたのは、「父親の時代に若松に1発屋があったらしい」という情報。通常であればこんな情報で調べたりはしないのだが、私の手元には、2000年に実際にセックスをしたというという先達の記録資料があるのだ。

その記録資料とは風俗雑誌ではなく、風俗とは少し離れた文学的な匂いのする本に書かれており、嘘を書いたとは思えない。今回の紀行で、若松なんてまったくのノーマークだったのだが、出発直前になって5000円の情報を掴み、急遽予定に入れられることになったのである。





JR若松駅というのは、北九州の洞海湾を渡った北側になる。ここを渡るのに渡し舟が出ているらしく、是非乗りたかったのだが、乗り場がわからずそのまま電車で行くことにした。

 高校生ばかりの車内で、セックスしにいく男が一人。

JR筑豊本線の終点が若松駅である。駅を出ると、すぐ前に大きな国道がある。大きなコンテナを積んだトレーラーが凄いスピードで走りすぎていく。この国道の先が洞海湾、国道を横断したところが商店街で、この街の中心になるようだ。

 洞海湾を跨ぐ若戸大橋

詳細地図がないので、駅の案内図で大体の捜査範囲を把握する。そしてGPSを起動し、縮尺を調整してスタート。自分の歩いたところを数十秒ごとに画面に印として残していく。こうすれば、少なくとも捜査範囲内はくまなく回ることが出来る。

散々歩くが、風俗店を思わせる建物は一切無い。飲み屋も無い。いわゆる健全な商店街である。ただ、古い建物があちこちに残っている。

参考にした本の記述からすると、住所的には本町あたりになるのではないか・・。そう考え、最も怪しいエリアを行ったり来たりする。と、目に入ってきた建物がコレだ

 売家の看板がでている

青いタイルといい、赤線跡にありがちな建物だ。このあたりが遊郭のあったところではなかろうか。


周辺は狭い路地が何本もあり、古い日本家屋が沢山並んでいる。一つ一つ見ていくが、別段、普通の民家である。


駅を下りてからすでに2時間近くが経過していた。こうなったらもうお手上げである。タクシーの運転手にでも聞いてみるしかない。若戸大橋の下にタクシーの待機場所のようなものがあったのを思い出し、行ってみる。そして、一人のチョイ悪風味のおっさんに声を掛けてみた。

「このへんに遊郭の跡みたいなものはないですか?」

「遊郭?」と言って、怪訝な顔をするおっさん。そして、「あ〜、新地か、あの建物のこっち側や」と言って指を向ける。

先ほど歩いていたあたりである。

「まだ、建物とか残ってるんですか?」とやってみた。遊べるなら教えてくれと言ったつもりである。

「あー建物はー、まだあるかなあ、あの茶色の建物の向こう側や」

おっさんは、あまり話し好きというわけでもなさそうで、こっちの出方を伺っている。もしかしたら、私のふざけた質問に戸惑っていたのかもしれない。


お礼を行って、その場を離れた。

念のため、もう一度教えられたあたりを歩いてみたが、やはり古い建物があるだけで、人の気配は無かった。


もういいだろう。次の目的地に向かうため、電車に乗ることにした。




捜査地点:ここらへん




捜査報告書:そこにはブルースの名残はあったが穴が無かった。




おまけ


アジの握り

若松駅近くのスーパーで買ったアジの握り。こんなに美味いアジの握りは始めて食った。398円。そういえばこのへんは関アジ・関サバの取れるところですよね。確か。 てか画像見えてないよね?たぶん。あとで直します。



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