新津で本サロに潜入せよ


2018年8月×日、長官より緊急指令が下りた

指令:田舎の新潟のもっと田舎で本サロの捜査をせよ。

早速、捜査官が現場へ向かった。
なお、以下のファイルは全てノンフィクションであることに留意されたい


2018年、夏の始まり。バイクに乗って日本海側を秋田まで風俗店を探しに行く――。ぼんやりとそんな旅を構想していた。

日本のおもしろそうな道は、だいたい走ったことがあるが、親不知から秋田まではまともに走った事が無いのだ。 この機会にじっくり日本海沿いを走ってみたい。新しいバイクに乗り換えたので、1000キロくらいはケツが痛くならずに走れそうだというのもある。 そして、田舎ゆえに未知の本番風俗店が存在するかもしれないという淡い期待。まあそれが一番の理由なんですけど。

地図を見ながらにやにやする。豪雪地帯として有名な海沿いのおよそ500キロ。その間にある町で、もっとも風俗が充実しているのは新潟市。 新潟風俗と言えば、駅前の御伽のピンサロシリーズが有名だ。 あとは宇宙船とかいうイカの一夜干しみたいなのが店舗前にぶら下がっているのも有名だが、あれはもう建物ごと潰されてしまったようだ。

とうぜん私も新潟駅前でプレイしたことがある。 西洋のお姫様が出てくる童話のお店に入った。その店も今では無くなっている。昔は20店舗くらいあったのにな。

で、具体的にどこに行こうか。

駅前は壊滅が近い上に、本番店はあらかたリフレッシャーによってしゃぶりつくされている。 もっとマイナーなところを捜査したい。聞いたこともないような田舎の街でブルース溢れるピンクサロンを探してセックスしてみたい。 上越・柏崎・長岡・三条などの富山寄りを調べるのもアリだが、ここはよりマイナーな山形寄りの都市を調べた方が面白いだろう。 あまり北へ行きすぎると人がいなくなるので、あくまで新潟市近辺で。

ということで今回のメインの目的地は新発田、そして新津、おまけで月岡温泉、帰り道にシャレで柏崎と長岡と上越に寄って本番店をリサーチ、というふうに設定した。 なんて楽し気な旅なんだろう。

これらの街を調べるにあたっては、A級の資料を用意した。 私の知る限り、新発田と新津の裏風俗に関してこれ以上の資料は存在しない。 おなじみのこれである。



そして。これは本当の話なのだが、出発前日にメールがきた。なんという偶然。

今回初めてメールさせて頂きます。
自分は新潟在住なのですが、新津駅の周辺にも寂れたピンサロ(営業中)が建ち並んでいますよ。
もし、機会が散策してみて下さい。
〇〇〇という本サロがお薦めです。
70代のベテランさんが一人で働いてるとの噂ですよ。

前日に最新情報を入手することが出来たのである。しかもまだ営業していると。しかも本サロであると。しまも70代であると。 完璧だ。準備は完璧に整った。



ということで。出発。マシンはスズキ製。カワサキを辞めてから暫くホンダのバイクの乗っていたが、中央道走ってた時にエンジンが焼けたので帰りにスズキの店でシャレで買い替えた。 カッコいいんだかダサいんだか良く解らないバイクだが、中国の白バイに使われているらしい。 最大の特徴である2本出しマフラーを1本出しにしているので、パッと見た目は車種不明でSAに停めているとジロジロみられる。 でも皆「なんだ鈴木チャイナかよ」みたいな感じで去っていくので、たぶんダサいんだと思う。だから写真は載せない。

名神から北陸道を走って、途中で飯食ったり写真撮ったりしたけど輩の皆様はそんな甘酸っぱいロマンは求めてないと思うのですっ飛ばして まずは新発田だ。

新津と新発田では、新発田の方が街の規模が大きい。なので本命を新発田にしている。資料にはピンサロが5店舗あると載っている。 「高校3年生と同年齢の女の穴に突っ込んでったの1万円ポッキリ。」という灼熱の小タイトルとともに地図と本番店の写真が掲載されている。 今でも18歳の女の膣に挿入できるなら激熱だが、20年経てそもそもピンサロが残っているのかすら不明。 検索しても何も出てこない。今のご時世Googleで何でもわかると思っているかもしれないが、 田舎のピンサロは本当に出てこないのだ。路面店ならまだしも、空中階ならストビューでも解らない。 まあ、街の規模からして、ピンサロが壊滅していても一発屋が商売している可能性は十分にある。


新発田の繁華街にあるションベン小僧。蜘蛛の巣だらけ。

だいぶ回ってみたが、ないですねこれは。本番店どころか風俗店がない。飲み屋は結構あるけれども。 レーダーが反応していない。 諦めずにさんざんネットを漁ってみたが、新発田の風俗レポートらしきものはこれくらいしか出てこなかった。 裏風俗はこの人が調べているのでもういいだろう。詳細はこの人のを見てくれ。

http://69peropero.blog.fc2.com/blog-entry-140.html



さて、続いて新津へ行くことにした。 資料にある豊栄はパス。もともと本サロもどきが1軒しかない上に、それはとっくに閉店しているので。

(結果は簡単に書いていますが、2日がかりで昼と夜とちゃんと調べていますよ。時系列がおかしいけど気にしないでください。)



誰も歩いてないよ・・

やってきました新津駅前のメインストリート。激しくしょぼい。

新津の街は、資料では15ものサロンがあると書かれている。人口たった7万人にも満たない街の規模からしたら異常だ。 今はだいぶ減っていると予想したが、昼の調べでは店舗が3軒、残骸が1軒残っていた。





面構え的には本番があってもおかしくはないし、何より新潟駅前のサロンが本番できるのに、 ここは出来ないというもおかしな話だろう。新潟駅からはたった15キロしか離れていないのだ(昔は新津市というのがあったが、現在は新津は新潟市の一部になっている)。 新潟駅前は若い女が出てくる土地だったので、ここでも30代くらいの女なら十分出て来そうな感じはある。あるいは…。 私は内心、これはスクープに出来るのではないかとワクワクしながら夜になるのを待った。 未知なる本サロの匂いがプンプンする。


夜の駅前通り

21時。今日は新潟の方で花火大会があったようだ。そのせいか浴衣姿の女などが駅前にいる。 普通の日なら人っ子一人いないであろう駅前に、ざっと20人くらいはいるんじゃないか。 中級以上のリフレッシャーならわかると思うが、夏の捜査は祭りに邪魔される事が多いのだ。

とりあえず1軒目はクラウンという名前の店。前に客引きが立っている。 接近を試みる。

「ここは何屋さん?」

「ピンサロです、どうぞ」

「口ですか? どこまでですか」

「本番はありません、どうぞ」

ううむ。「そうですか、ちょっと他も見てきます」と言って離れることにした。

次にクイーンという店へ。客引きはいない。祭り帰りの人が通り過ぎるのを待って 人が0人になったところで入口へ。こんな店に入るところを見られるのはちょっと恥ずかしい。

扉を開けると鈴が鳴ってボーイが出てきた。ホストみたいな男だ。 若干戸惑いながらも先ほどのクラウンと同じことを聞く。しかし、残念ながら、答えは「本番以外なら何でも」だった。 女は2名出ていて、30台らしい。場末のピンサロで前髪M字のボーイに合うとは思わなかったな。

次へ。本命のDである。Dとはイニシャルで、トランプとかマクロンの事だ。 ここは本番できる可能性が最も高い。 資料でもDで本番をしたと書かれているし、私の元に来たメールもDの名称だった。 出来なくてもネタにはなりそうな店だ。それに、これを逃すともう後がない。いま営業しているのは3店舗しかないのだ。

店前に行くと看板が出ている。営業中だ。 深呼吸して扉を開けてみるも誰も出てこない。 店内はカビ臭く、演歌が流れている。声をかけても誰も出てこない。戸畑の天国みたいだな。 しばらく待ってみたが埒が明かないので退散する。接客中なのかな。

15分後に再び扉を開けて、今度は「すいませーん!」と思いっきり叫んでみる。 すると中の扉が開いて、落語家の林家なんとかに似た小太り丸メガネの爺が出てきた。 こちらが例のセリフを言うより早く、第一声。

「あ〜〜〜〜、今まちある」

「どのくらい待つ?」

「う〜〜〜〜ん、20分」

「そうか、どうしようかな。今日は一人ですよね」と、女が一人なのかを聞いてみる。

そうだと即答された。たぶん毎日一人なのだろう。続けて「こちらのお店は最後までできるんですか?」と聞いてみる。

「うーーーーーん、・・・一見さんはちょっと無理だな」

こちらをじっくり見られたうえで言われた。

マジか。じゃあ、私が遊ぶ理由はない。交渉してセックスするのは嫌いなのだ。

「ちょっと他も見てきます」と言って去ろうとすると、「それはどういう意味?」と返された。

何も言わずにいると、「あなたがまた戻って来るみたいに言うから聞いてるわけ!」とキレられた。

「なんかこっちが悪いみたいな言い方! その受け答えダメだろ!」と、まくしたてる。

どうも頭おかしいのかもしれない。「すいません、いいです」と謝って解放された。でもオレなんか悪いことしたかな…。 もしかしたら数十年やっている店だからプライドがあったのかもしれない。 「ええ、もちろん待たせていただきます。初めてですので本番は無くても結構です。上がらせてもらってよろしいでしょうか?」って答えないといけなかったのかもしれない。 実に下らない店だ。期待した自分がバカだった。もう捜査は終わりだな。 この街に本番店はない。


思うに、資料で四谷は、新津では全店舗を回って本サロかどうかの確認はしていないんじゃないかと思う。 クラウンとかクイーンとか鉄板で黒っぽいけど白だったし、途中から白に変えたってことはないと思う。 当時から新津のピンサロは白営業だったんじゃないかと思う。Dのみ、常連や希望する人間には本番を提供していたという事じゃなかろうか。 なんか後追い捜査みたいになってしまったな。


人気のないシャッター街。シャッターには特急電車のイラストが描かれている。鉄道で町おこししているようだ。 町おこしするにはシャッターに電車の絵を描くんじゃなくて金を回さないとダメなんだよ。絵をかいて経済回るなら苦労しないからな。

これからどうしようか、何もない駅前でぼんやりしていると、夫婦に話しかけられた。祭りから帰ってきたようだ。

「ずいぶん遠くからこられたんですね」

遠くから好き好んでやってくる人などいないのだろう。 22時には誰もいなくなる静かなネオン街。人生の折り返し地点を過ぎた人には最高なのかもしれない。


凄い人出の駅前広場。

いっとき15店舗を擁した一大ピンサロ街としての新津は、ごく近い将来に自然消滅することは間違いない。 そもそも行政区画としての新津市自体が10年前になくなっているのだ。 新津の街は住人とともに安楽死を選んだということなんだろう。さようなら。


捜査報告書:新潟の田舎者から一見お断りされて終了。


トップページへ戻る1つ戻る