1. 日本海を北上するフェリー
2008年7月17日(木曜日)
午前8時15分の敦賀港フェリーターミナル。広い駐車場には車もバイクもトラックも停まっていない。一番乗りだ。乗船カウンターで2等船室を取って15,000円を払った。再び建物の外に出ると日差しがヤバす。乗船する車両を並べる停止線の一番前にバイクを止めて日陰へと移動する。
私はこれからフェリーで秋田まで行くのだ。そのあとは北海道を目指す。それから先は時に決まっていないが、できれば沖縄に行きたい。全く逆の方向だけど。とりあえず意気込みはそういう感じだ。
敦賀から秋田までフェリーでショートカットするのは、はやく北海道(特にススキノ)に行きたいからだ。北陸から新潟あたりは特別に見たいものがあるわけでもないし、新潟駅の本サロも捜査済みだし。秋田までフェリーで行けば、体力を温存したままで船から降りた瞬間から、たのしそうな東北の海岸沿いを走ることができる。
1時間が経って、9時15分に乗船開始となった。バイクを停めてあった停止線まで行ってみると、すぐ後ろには川崎ゼファーが停まっていた。髪の長い女がそばにいたので、どうやらこの女が持ち主らしい。これは声をかけておいた方がいいかなと思ったので、「どこまでいくのか」というテンプレ通りの導入トークでしばし会話をする、私のがゼファーの400cc、女のは1100ccだと。ふーん。とりあえず仲良くなっておいた。どうせ船内は暇だから、こうしておけばまた話をできる。
乗船して船内で荷物をまとめると、さっきの女の姿を探す。そんで暇そうにしてたので隣に座って話をする。よー喋る人だな。休みを取って、函館のライダーハウスまで遊びに行くそうだ。秋田で降りて青森港まで陸走したほうがいいからと言っていた。年齢は私より一回りは上と思われたが、聞いたらシバかれそうだったので聞けなかった。いわゆる川崎乗ってそうな女ですよ(わかる人は解ると思います)。むかしは日本中を旅したそうで、礼文島にいたら10月になって寒くなったから次は沖縄へ行ったって。なかなか熱そうな人生を送っている人だな。
いろいろ話をしてると、MinoruOkadaという人物(日本人)と合流する。こいつも旅人で、これまでに65か国を回ったらしい。29歳で仕事を辞めて今32歳。ずっと旅をし続けているのだという。昨日まで中国にいて、上海から船で大阪港までやってきて、そこからJRで敦賀まで来て、そしていま北海道行きのフェリー。北海道でコンブ漁のバイトをして金を貯めるそうだ。金がたまったらアラブへ行くと言っていた。
3人でおしゃべり。コンブ漁の男に、「それだけ旅をして、どこの国が面白かったか?」と聞くと、「ザンビア」だと。海外青年協力隊なんやら。たまにライターをしているとか。ジャッキーチェンと友達だとかで、写真を見せてくれた。たしかに映画で見るジャッキーチェンとツーショットで写っていた。それからマジックテープの財布をバリバリっと開いて、中からお金を取り出して見せてくれた。みたこともない紙幣がテーブル上に並べられた。
ひとしきり話をして、正午になったので風呂入って、眠くなったので夕方5時まで寝る。起きたら地図を見て行先を検討する。東北地方かなりアツいスポット多い印象だ。あつい。
17:00くらい
新潟秋田を経由する北海道行きのフェリーです。
18:30くらい
19時に食事。フェリーのレストランでバイキング1,800円也。飯食ってからぼんやりしてたら、ゼファー1100の女から「飲まない?」と誘われた。美味しい酒を持っているから一緒に飲もうと。どんな酒を出すのかと思ったら箱に入ったウイスキーだった。ウイスキーなんざ飲んだことなかったが、「山崎は特別に美味しいから是非飲んでみて」と勧められた。じゃあ飲むしかないなあ。売店で氷を買って、山崎の小瓶が開封された。
水割りにして飲んだらめちゃくちゃうまい。なんやこれは。いろいろ話をして、ツーリングの話とかで盛り上がったところで、さっきのコンブ漁の男がやってきた。いま、外国の旅人と飲んでいるから、君らも一緒に飲まないかと。
じゃあ、ということで場所を移動して外国人とやらに会いに行くことに。
外国人は3人で、モニカとロビンという男女はカップルらしい。それともう一人京都に棲んでいるというモヤシみたいな白人の男(名前忘れた)。
さっそく6名で酒盛りを開始。モニカとロビンはオーストラリア人で、チャリンコで4年かけて世界一周をしている途中だという。モヤシ男もスポンサーなしで仕事しながら旅をして回っているとか。
「君もこれから長い旅をするんだろう? 何の旅をするのか?」と、みんなから聞かれる。日本のちょんのまをですね……とか言えるわけないので、「いやあ、どうですかねえ、みなさんすごいですねえ」とか言っとく。
ロビンからは、ジンジャーの酒を勧められた。飲んだら生姜の味がして美味しい。このカップルは英語以外まったく話せないのだが、体を大げさに使って異国人に伝えようとしてくる。おっぱいブルブルしてるよ。ひきかえ京都に棲んでいるモヤシ外人はほとんどしゃべらない。恥ずかしがり屋なのか。
しきりにみんなから世界一周した方がいいと勧められる。君はまだ若いから行けると。海外をまともに旅していないのは私だけで、なおかつ私の旅の目的はすこぶる低俗なものなのでなんか肩身が狭かった。風俗の旅をしているんだとか絶対言えないし、日本一周ツーリングですよアハハみたいな。てゆうか、インドの道に転がってる死体の話を聞いてたら、日本の裏風俗を全部回って最果てでスペルマ発射することがそんなに凄いことでもないように思えてきたよ。
人生いろいろ、こんな人生もあるんだね。散々さわいで、何時に寝たか忘れたが、翌朝は4時半に起きて、5時50分に下船開始。車両甲板でゼファー1100女から「写真撮ろうか」と言われたので、そばにいたライダーに撮ってもらう。男女の並んだ写真を2回も撮らされてダルかったろうと思う。ごめんね。
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